ノエイン もうひとりの君へ (1) / イラスト:松本文男 / MF文庫J

ノエイン もうひとりの君へ〈1〉 (MF文庫J)

ノエイン もうひとりの君へ〈1〉 (MF文庫J)


同名アニメのノベライズ。


近年読んだ中で最低のノベライズと言っても過言ではない。
アニメの1〜12話までの内容から、ハルカの視点のみを抜き出しているという構成になってるんですが、コレが余りにも酷い。
難しい言葉・概念が出てきても、ハルカの知識レベルで分からなければそれに対して地の文での説明が入らない。だってハルカ視点だから。
ハルカの見知らぬ場所で、物語に重要なシーンや確信に迫る出来事があっても一切描写されない。だってハルカが見てないから。
突然状況が変わっても、裏でどういうやり取りがあってそのような展開になったのか良く分からない。だってハルカには与り知らぬところだから。
以上のように、ハルカの見ている部分以外がバッサリ切られてフォローもされていないので、アニメを見ていないと物語の流れを丸っきり把握できないというクソ仕様
アニメ本編を思い出しながら読まないと、ストーリーそのものが理解できない最悪のノベライズ。
あー、2巻は絶対に買わねぇ。



万歩譲って、好意的にこの作品を解釈すると。
「絶対観測者」であるハルカの視点から描くことで、「存在が確定」した世界だけを文章として表現していると見る事が出来る。
コレは「ハルカが見ていない=存在が確定していない」という不確定な状態にある世界は描写しない・出来ないからである。
この世界に置いてはハルカの見ていない世界は不確定であり、その中でどのような出来事があるのか分からない。つまり、場合によってはハルカの見てない部分では「アニメ版とは違う出来事や過程」を経ているのかもしれない。
量子論的な世界観に置いては未来・過去が複数あるように、この小説における「描写されない」部分にはアニメとは違う「世界」が存在してるのかもしれないのである。
このノベライズはノエインにおける「量子論」と言うテーマに対して、斬新な手法でアプローチしたノベライズと言えるだろうか?


……と無理矢理解釈出来ないこともないけど、結果的に生まれたのはどうみても単なる駄目小説です。本当に(ry
そもそも、個人的にSF系ノベライズには、SF用語の説明やウンチクが入ることを期待してるのに、それが無い時点で期待はずれもいいところなんだよなぁ。
やれやれ、今年最大級の地雷を踏んだ