マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号 / イラスト:Nino / 角川スニーカー文庫


第10回スニーカー大賞・奨励賞受賞作。


漫画やアニメやライトノベルに出てきそうな設定の登場人物達が、わんさか出てくるドタバタ劇。
「記号」という名の下に、「魔法少女」「妹」「ハーレム男」「変身ヒーロー」「巨大ロボ」「超能力者」など文字通り何でも有り。主人公の「転校生」がある意味一番健全と言う超展開。
非常に既存のオタ文化を意識したメタ小説的な作りになっているので、メタ作品好きな私としてはちょっぴり楽しかった。
ただ、娯楽小説として見ると割と欠点が多い
登場人物が多すぎて雑然としてるし、ミステリの体裁を取っているのに色々と事情が込み入りすぎて話に集中しにくく、読み辛い。
敵役の計画も行き当たりバッタリ過ぎるし、解決も力技のご都合主義だし、何とも評価しにくいなぁ。
便利すぎる「能力」や「力」を持っている人物が多い状況下で、ちゃんと危機感のある「事件」を起こしている、構成だけは良かったと思いますけどね。
メタ小説にありがちな、作品の内容よりも、作品の構造の方に面白みのある小説。
でも、続編が出ればちょっと読んでみたいと思った。今作で作品の舞台は整った訳だから、続編は今よりも落ち着いて読めそうですし。
「Case1」とあるから、続編の可能性は高いだろうし、出来に関してはあまり期待せず待つかな。