ファイナルシーカー レスキューウイングス / イラスト:山本七式 / MF文庫J


アニメの「よみがえる空」やコミック版「レスキューウィング」などとの連動企画。
アニメや漫画と同様、小松救難隊を舞台とした小説。


航空自衛隊小松救難隊所属の、メディック(救難員)が主人公の話ですが、他の連動企画には無い、「幽霊」というファンタジーな要素があるのがちょっと特殊。
元々小川さんはスペシャリスト(専門家)」を書くことに長けた作家なんですが、その力量は今作もいかんなく発揮されていた。
綿密な下調べと取材があるおかげで、細かな描写や情報などの作品の土台がしっかりとしている
想像や空想だけじゃなくて、ちゃんと現実に即した知識で作ろうと言う意志の強さが、小川さんの凄いところ。
派手さやラブっ気には欠けるけど、救難隊で生きる自衛官の人間ドラマとして楽しく読めた。
ただ、物語としてはちょっと盛り上がりに欠けるかもしれない。山場にインパクトが無く散漫な印象。
「人の死」「救難員としての自分」「自衛官としての自分」「灯との関係」など、どれかに焦点を絞った方がページ数を考えれば良かった気がする。
土台がしっかりしてる分、「救難員の日常」を描いてくれるだけでも充分に面白いだけに、「幽霊」という超常要素をもう少し上手く使って、話を盛り上げて欲しかった気がします。なまじ出来が良いだけに惜しまれる。


しかし、この企画に小川さんというのはナイス人選、グッジョブ。