- 作者: 矢治哲典,矢野たくみ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2006/01
- メディア: 文庫
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ごく普通のサラリーマンが異世界に飛ばされるお話。
ストーリーはシンプルで分かり易い分、意外性に欠ける。
前半の軽妙なやり取りや、後半の切ない雰囲気は嫌いじゃないけど、特別優れていると言う訳ではない。
ただ、「主人公が高卒サラリーマン20歳」という珍しい年齢設定を予想外に上手く使っているのには感心した。
二十歳を越えた、就職もした、仕事に対する戸惑いも消えた、という丁度「子供」から「大人」に移ろうとする主人公と、幼なじみの「大学生」を対比させることで、「子供と大人」というテーマに正面から向き合ってる点は良かった。
モラトリアム抜きで、前向きに「大人」になっていく主人公の姿には好感が持てる。
あとは、主要キャラである空手熊の渋さには惚れた。何、あの渋さ。クマー。
ただ、そういった優れている部分もあるけど、「物語」としてみた場合そこまで面白い訳でも無い。
新人賞受賞作の割に、勢いや新鮮さにかけるのが辛いかな。荒削りでも光るものが欲しかった。