古代ローマ帝国の遺産―栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ― / 国立西洋美術館

国立西洋美術館開館50周年記念事業の特別展らしい。
古代ローマの歴史は好きなので(ローマ帝国よりも共和制ローマの方が好きだけど)、先月東京に行った際ついでに常設展と合わせて見てきた。





特別展。
ローマ帝国」とは言うものの大方はアウグストゥスを中心とした帝国最初期のものが多く、共和制に関しては帝国への移行に際してカエサル辺りの名前が出てくる程度。
それと、東大のチームが発掘に関わっていることで近年何度も話題になり、TVで特番を組まれることも多いポンペイの街関連のものが多かった。
「帝国最初期」+「ポンペイ」展みたいな。
座像とか胸像とかはこの手の展示ではお約束みたいなものだけど、アウグストゥスとかアグリッパとか知っている歴史上の人物の名前が出てくるとテンションあがるよね。
ポンペイ関係では、イタリア国外での初展示のものが見れたことはちょっと得した気分になれたし、別々に発掘された像のパーツを継ぎ合わせて一体の像の形に復元してたりして凄いと思った。それと、欠けた像でも元々そこにはどんなパーツがあって、どんなモチーフで像を作ってるのか想像するとワクワクしてくるよね。
建築物関係では、半円形の壁面に描かれた壁画に階段上の水路があけられてる建築が印象に残ったかな。庭園の壁画に描かれた生首は正直気味悪かった(ぶっちゃけた)
好きな時代のローマでは無かったし、最近露出が多いポンペイ関係のものが多かったので、正直ちょっと目新しさには欠けたけどそれなりに面白かったよ。





常設展。
上野公園にある美術館として存在は知ってたけど、実際に行くのは初めてだったのでちゃんと常設展も見てきた。
銅像が多かったけど、生で「ロダン作」のものを見るのは意外と初めてだった。初めて、リアル考える人・地獄の門を見たよ!
知識や写真でしか知らなかったものを、生で見た時の感動って確かにあるよね。
絵画は私でも知ってる作家の真作が沢山でそれだけでもワクワクしてくる。
ただ、その中でも特に印象に残ったのはトゥーレの「聖トマス」、ドレの「ラ・シエスタ、スペインの思い出」辺り。
個人的には光源と陰影が上手く使われている絵が好みなので、この作品では暫くその前で見とれるくらい素敵でした。
トゥーレは作品数の少ない作家だと聞いていたなので、まさか日本で真作を見れるとは、これは嬉しい誤算。
レンブラントの作品が見れればなお嬉しかったんだけど、収蔵はしてても常設展示はしてないのね。残念。この辺はまったく下調べしてこなかった私が悪いんだけどねー。
今度レンブラント展とかやってる時に観に行きたいなぁ。
一方で、「20世紀の絵画」のエリアはやっぱり全然理解出来ない
この年になっても、やっぱりキュビズムとかシュルレアリスムとか抽象絵画は何がいいか分からんわ。ピカソとかは無理。
もういい年なんで、無理に理解出来ないものを見栄張って「イイ」「良かった」とか言う気にはならないから、分からないものは分からないでいい。
しかし、「20世紀の絵画」のエリアに展示されてた銅像が「orz」みたいな格好してて吹いた。それって、そのエリアに居た時の私の心境だわ。






同時開催「ローマ 未来の原風景」by HASHI。
常設展の一角にコーナーが作られていた。
スタイリッシュに加工したモノクロ写真を、暗闇の中で写真にピンポイントの照明をあてる形で展示してあった。
うーん、現在のローマの街や遺跡の風景を、どこか懐かしさを感じるように捉えたような写真だったけど、いまいちコンセプトが見えない感じだった。うーん、こういうものに対する私の理解力が低いんだろうね。
まあ、暗闇に浮かびあがるように展示されてるのを見ていくと、何か別な世界に迷い込んだような妙な感覚に捉われてちょっとゾクゾクした。
ただ、展示エリアに「落書き帳」みたいなのが置いてあって、感想とかが書けるようになってたんですが、その中で「嵐最高!多分見ないと思いますが、この前のコンサート最高だったです♪」みたいなまったく無関係な書き込みがあったのが、ちょっともにょった。
チラシの裏かブログにでも書いておけ……ちょっと水をさされた気分になってしまった。





以上で、西洋美術館体験はそんな感じ。
池袋で某サイン会の整理券を貰う→上野の西洋美術館に移動して特別展を見る→渋谷の某サイン会に移動→また上野に戻り常設展。
という良く分からないスケジュールで動いていたので正確な時間は分からないけど、多分合計で5〜6時間は美術館に居たと思う。
サイン会が無ければ講演会も聞きたかったところです。
昔は美術館や博物館では「早く帰ろーよー」みたいな反応を示す典型的な子供だっただけに、興味のある分野(古代ローマ)の特別展があったとはいえ美術館に平気で5〜6時間滞在出来るところに自分の成長や変化を感じるよね。
まあ、楽しみの幅とゆとりが持てることはいいことだと思いましたとさ。