BLACK BLOOD BROTHERS 1 / イラスト:草河遊也 / 富士見ファンタジア文庫


「Dクラ」でブレイクしたあざの耕平が斜陽気味の富士見ファンタジアを救いに帰ってきた
そういう雰囲気の中で、刊行前から看板作品になることを期待されて投入された新シリーズ。
9月からアニメ化が決まってるので、富士見的には現在のプッシュ作品であることは間違いない。
個人的には、年初めの「半分の月がのぼる空」「しにがみのバラッド。」に続く、「アニメ版を見る前に原作積本消化しようぜ企画」の一環としてこのタイミングで読んでみる。


人間と吸血鬼が共存するという「特区」を目指してやってくるジローとコタロウの兄弟が巻き込まれる事件の話。
世界観と設定の提示、主要キャラの登場に伏線張りなど、「最初の巻」で行うべき項目が奇麗に網羅してある。
そういった「説明」を過不足無く行いながら、物語的な面白さもちゃんとしてる点はさすがあざの耕平といったところ。
1巻ということで「敵」は小粒だったけど、その存在によって特区が脅かされる様子が無難に描けてる点は良かった。
まあ、強烈な盛り上がりには欠けたけど、それなりの山場もあったし初めからシリーズ化前提の1巻としては、充分なクオリティ。少なくとも不満は無かった。
……とそんな感じの無難な作品だと思っていたら、ラストでミミコに血統の話をするシーンでやられた。
切ない。切な過ぎる。思わず涙ぐみそうになったよ!
シリーズの1巻としては満足な作品でしたよ。うんうん。