天使のレシピ / イラスト:松竜 / 電撃文庫

天使のレシピ (電撃文庫)

天使のレシピ (電撃文庫)


(多分)新人作家のデビュー作。


羽根を集める「天使」が、「心の羽根」を落とした人間との関わりを軸にした連作短編。
連作短編形式によって「羽根=感情の一部を落とした」というテーマで「ちょっと奇妙な恋愛話」を描くのかと思ったら、「羽根を落としてない人間」の話も入ってたりして、その統一感の無さが気になった
こういう「例外(羽根を落としてない)」話はシリーズ2,3巻目でやるようなことだろうと思う。
それと、2編目の短編がまるっきりエロゲ(エロ小説・エロ漫画)のようなプロットで正直引いた。
「彼氏持ちの少女が、好きでもない男とキスしないと堪らなくなる症状に陥ってしまう」って、本気でどっかのポルノ作品で見たぞ(「キス」が「セックス」に変わる作品も多い)
しかも、「情事」が彼氏にばらすと脅迫されたり、キスしてるところを彼氏に見られたりって、これ何のフランス書院
二次元ドリームとか、美少女文庫とかで書いてろと素で思った
別にライトノベルでエロ小説っぽい話を書くなとは言わないけど、この話だけ「恋愛」話として周りから浮いてるんだよなぁ。唐突に「寝取り」とか「彼氏への(不本意な)裏切り」っていう切り口で話を展開されても、悪い意味で意表を付かれるだけだし。
結局、このエピソードで「引いて」しまったのが最後まで響いて、最後まで話に乗っていけなかったよ。
2巻の発売が発表されたけど、巻数を重ねればこの統一感の欠ける歪な連作短編形式は改善するのかしらね?
次巻は買うかどうか分かりませんが。


そういや、松竜さんは好きな絵師なんですが、この作品の挿絵はデッサンが不安定な印象を受けたなぁ。
特にカラーページに、気になる絵が何点かあった。単なる気のせいならいいんですが……
うーん、以前に挿絵をやってた月巫女シリーズのイラストがガチだっただけに、久々の松竜イラストに対する期待が大き過ぎたんですかね。