それでも、警官は微笑う / 単行本

それでも、警官は微笑う

それでも、警官は微笑う


第25回メフィスト賞受賞作。
個人的なメフィスト賞読破数では26作目。


謎の密売拳銃を追う警察官と、元恋人の父親の濡れ衣を晴らそうとする麻薬取締官などによる群像劇。
人質を取った犯人に「(隣にいる)男のケツを掘れ」と警官が脅迫され、あげくの果てには隣の男に向かって「(警官の)アレをしゃぶれ」と命令するという、ホモシーンによる始まり驚愕した。
こういうシーンは中々男性作家は書かないよなぁ、と思っていたらやっぱり作者は女性か。ホモ(やおい)好きですか?
まあ、そんなある種のインパクトがある書き出し以外は、割と平凡な警察小説
事件を追っていくうちに謎が深まり、真相まで辿り着くと言うオーソドックスな流れ。麻薬取締官が出てくるところ自体は珍しいけど、普通の警察官との差別化があまり出来てないので、正直大した変化球にはなってない気がする。
それと、この事件の「黒幕」の目的があまりに突拍子の無いものだったことに苦笑い。
絶対にありえないとは言わないけど、作中でも「無理がある」と言われてるように、手段が遠まわし過ぎてリアリティに欠けるかなぁ。
それと、ネットに関する描写がやたらと出てきてたけど、幾らなんでもそんなにとんとん拍子にいく筈が無いと思う。曖昧な情報を元に、そんなに簡単に犯人とニアミス出来るなんて、ちょっとご都合主義が鼻につく
メフィスト賞作品の割にはケレン味の少ない作品だったから、主役の警官のキャラが好きだった分そこそこは楽しめたけど、そこまで面白いという訳じゃないかな。ダラダラ読む分には充分な出来という気はしますけどね。
まあ、その前に読んでいた「タブ(エ)ストン街道」が凄まじく嗜好に合わない作品だったから、相対的に面白く感じただけかもしれませんがね。