School Rumble ―恋、知りそめし頃に― / イラスト：小林尽 / Magazine Novels

School Rumble ―恋、知りそめし頃に― マガジン・ノベルス

スクラン初のノベライズ。
著者は、アニメのシリーズ構成・ときたひろこさん。

十数人の登場人物が、過去のことを振り返るという私小説もどきの形式でのノベライズ。
単に漫画の場面場面を、登場人物の視点で書いてるだけの小説で漫画を読んでれば見る価値は皆無に等しい。
一応、小説オリジナルのシーンもあるけど、全体の1割にも満たない程度の無視できる程度の分量。
後は、仮にも一人称小説なので「この場面の時、このキャラはこう思っていた」という、漫画では見えなかったキャラの内面を垣間見ることが出来るけど、内面描写の貧弱さのせいで正直面白くない。
結局は、漫画との重複部分が多過ぎて漫画を読んでれば見る価値が無いし、単品として評価するには余りにも内容がお粗末過ぎる。
まさに出来の悪いノベライズの典型例のような作品。
こんな妙な構成にするんじゃなくて、素直に小説オリジナルエピソードでサイドストーリーを書いておけば良かったのに。

そもそも、内容以前にこの小説って余りにも手抜き感が強過ぎるんですよね。
ストーリーが漫画版のデッドコピーなのを初めとして、校閲をしてるのか疑いたくなるような誤字脱字の酷さ。
「引っ越し屋さん」となるところが「引っ越し屋さｎ」となってたり、三点リード二つで表されてる「……」という言いよどみの部分が、唐突に「・・・」なってて明らかに他の三点リードから浮いていたりと、素人でも一回読めば指摘できる程度のあからさまな誤字脱字で、読んでて呆れを通り越して笑えてきたよ。
結局、、編集が「スクールランブル」と名がつけば売れるだろうとでも思って、アニメスタッフに片手間で書かせたとしか思えないですよ。
まったく、消費者を舐めるのもいい加減にしろよ。くだらねー。

あ、後は帯にある「スクラン小説はカワバタもびっくり、心の琴線をかき鳴らす、なんと純文学！！」っていう煽り文もどうかと思う。
確かに、作中で登場人物が過去を振り返るという形式は「私小説」の一種だと強弁することも出来るかもしれないし、「日本の純文学≒私小説」という側面があることは否定しないけど、コレを純文学と言うのは牽強付会もいいところ。
少なくとも、純文学の真っ当な文芸出版を持つ会社の書くこととは思えんね。
そもそも、心の琴線をかき鳴らしもしない単なる駄作ノベライズだし。
どう考えても出来の悪いファンアイテムのレベルを越えてない代物にこんな見当違いな煽りを付けるなんて、やっぱり編集のあほさ加減がこの「ノベライズ」企画の最大の失敗理由の気がしますよ。本当に。