何となく書いてみたジュブナイルポルノ入門

昨年、美少女文庫全299作品(えすかれ含む)をコンプリートしたので、記念にダラダラとジュブナイルポルノについて語ってみようかと思います。
入門なので、「ジュブナイルって何なのか?」から「ジュブナイルポルノのレーベルの解説」などを中心にダラダラと。

あ、ちなみに「最近」や「近年」みたいな言葉を多用してますが、あくまで「2012年1月10日現在」の最近・近年ですのでその点は理解の上お読みください。
 
 
 
 
 

ジュブナイルポルノとはなんぞや?

一言で言うとライトノベル(エロゲ)っぽいキャラによる、ライトノベル(エロゲ)っぽいイラストの付いた官能小説のことです。
ライトノベルっぽいイラスト」の定義をちゃんとしようとすると面倒になりますが、「アニメ・ゲーム・漫画」のようなイラスト、とでも思って頂ければ。
ライトノベルっぽいキャラ」の定義も面倒だけど、とりあえず記号化された「妹」「姉」「幼馴染」「お嬢様」「メイド」「ハーレム」「ツンデレ」みたいな要素・属性辺りを思い浮かべて頂ければ大きく違うことは無いです。勿論それだけでは無いですから、漠然としたイメージで捉えて頂ければ。
wikipediaでは
 

ジュブナイルポルノJuvenile porno)とは、男女間もしくは同性間、さらに人外なものとの性描写を含む、特にアニメ・マンガ調のイラストを使用した非常に娯楽性の高い小説であり、官能小説の一ジャンルである。

 
とありますね。
市民権を得た「ライトノベル」という用語に比べると、まだまだマイナーな言葉な気がします。
「エロライトノベルと呼ばれるのを見掛けることもありますし。
「エロありのPCゲーム(エロゲ)のノベライズ」を「ジュブナイルポルノ」含めるかどうかに関しては異論もあるかと思いますが、まあ広義では間違い無く含む、というのが僕の考えです。
 
 
 
 
 

■どんなレーベルがあるの?

オリジナルとノベライズに分けると以下のような感じ。
美少女文庫でも初期は「LOVERS」のノベライズとかやってたけど、まあその辺の細かいところは考えずどっち中心のレーベルかで分けた。
 

【オリジナル作品中心】
美少女文庫
美少女文庫えすかれ
二次元ドリーム文庫
二次元ドリームノベルズ
・二次元EXノベルズ(ノベライズっぽいのもあるけど)
・あとみっく文庫
・リアルドリーム文庫(官能小説とジュブナイルポルノの中間領域)
・ぷちぱら文庫Creative
・ヴァージン☆文庫
・青心社文庫(死にかけ。2011年発行無し)

 

【ノベライズ】
パラダイムノベルス
・ぷちぱら文庫
二次元ゲームノベルズ
・二次元ゲーム文庫
ハーヴェストノヴェルズ(一部オリジナルあり)
パンプキンノベルズ
・イーエルオーノベルズ(ヴァージン☆文庫創刊後は停止気味)

 
まあ、結構レーベル自体は多いように思えるけど、実際死にかけだったり不定期刊行だったりするレーベルも多いので、発行数自体はそこまで多くないです。
昔は「ナポレオン文庫」という美少女文庫の前身のようなレーベルがあったりもしました。このレーベルにピンとくる人は割とオッサンだと思います。

 
 
 
 
 

■各レーベルの特徴(オリジナルレーベルのみ)

ノベライズで特徴も何も無いので、オリジナルレーベルの特徴を私の印象で語られて頂きます。
ただし、上にリスト化したオリジナルレーベルのうち「二次元EXノベルズ」「青心社文庫」は死に体なので省略します。
 
 
 
 
美少女文庫
エロ小説界の大御所フランス書院による業界最大手のレーベル。
一か月に2〜3冊くらいのペースで安定して刊行されているが、レギュラーの作家が定期的かつコンスタントに作品を出しており、作家の数は比較的少人数で回されている。
創刊当初は凌辱系などもあったが近年は壊滅状態で、イチャラブや純愛、プチハーレムのような「主人公に優しい」「主人公に甘い」「ヒロインが傷つかない」作品が主流。
比較的楽に読める作品が多い半面、ストーリー性は弱く、少ない作家で書かれている+エロシーンの回数・間隔・禁止事項などが編集方針でフォーマットされているのか、似たような作品が多くなりがち。
ストーリー面で頑張ってた作品でも、最後の最後で「ご都合主義」に走ってガックリと言うことも多い。
近年は他レーベルから進出してきた作家や、新人・若手が出てきており割と楽しみな面もある。
 
タイトルやあらすじは編集者が付けているのは有名な話だが、そのせいかそこら辺は非常にワンパターン。
特にあらすじはもうちょっとどうにかならないものかね。
 
 
 
 
美少女文庫えすかれ
美少女文庫えすかれは、美少女文庫の姉妹ブランドとして立ち上げられたレーベル。
レーベル名の「えすかれ」は「エスカレート」の意味。平均すると1カ月に1冊くらいのペースで安定供給されている。
イチャラブ・純愛・ハーレムなどの「主人公に優しい」「主人公に甘い」「ヒロインが傷つかない」作品が主流な点はあまり普通の美少女文庫と変わらない。
ただし、無印の美少女文庫に比べて、「SM」「スカトロ(おしっこ等)」「特殊性癖・フェティシズム」「極端なハーレム」「妊娠(孕ませ)」「催眠」「脅迫・奴隷・調教(ただし純愛)」などの人を選ぶ要素が強調された作品が多い。

自由度・やり過ぎ度はこちらの方が高い印象がある。
作家陣は美少女文庫とかなり被っている……が、おしっこ・おむつ描写に情熱をかけているせいか(2012年1月現在)えすかれ専業になっている遠野渚さんのような変わり種もいる。
 
 
 
二次元ドリーム文庫
キルタイムコミュニケーション(以下KTC)発行のジュブナイルポルノレーベル。
一か月3冊前後のペースで安定供給されています。最近は1カ月に出る本が月2回に分けられて発売されることがあって、そこら辺は意味分からない。
近年の作品傾向としては、いちゃラブ、純愛、主人公に都合のいいハーレム作品が多く、美少女文庫の差別化が難しい傾向にある。
あえて違いを探すなら、近年は「エロデレ」「ツンボテ」「クーマゾ」「スク巫女」のような複合属性一点突破型の作品を割と見掛ける。二次元ドリーム文庫出身の葉原鉄さんが美少女文庫で「ツンマゾ」なんていう属性ものを出しているのが象徴的。
まあ、それ以外は正直あんまり大きな違いは無くて、レーベル色と言うより作者の個性による違いが大きいです。
 
看板作品の竹内けんさんによるハーレムシリーズはハーレムものに「共有世界での戦記+ファンタジー」要素を入れた作品で、シリーズを重ねる度に作品ごとの世界観が広がり・重なり、面白くなってくるのでライトノベルファンには特にオススメ。
ジュブナイルポルノにおけるシリーズ作品唯一のガイドブックが発売されてるくらいには情報量があります。
 
 
 
二次元ドリームノベルズ
KTC発行の新書サイズのレーベル。
現存するKTCのオリジナルレーベルの中では最も歴史が古い。
近年では月に1〜2冊くらいのペースで刊行されています。
作品の傾向としては、魔法少女や騎士や退魔師などの「戦う少女・強いヒロイン」が凌辱、輪姦などで堕とされるような作品が多い。
業界全体の流れとしてイチャラブ・純愛系が主流の中、凌辱系で頑張っているレーベルですね。
容赦なくヒロインを蹂躙する作品が多いので、そういうのが好きな人向け。逆に苦手な人は向いてないでしょうね。
まあ、レーベルカラーがハッキリしてることはいいことだ。
 
 
 
あとみっく文庫
KTC発行のジュブナイルポルノレーベルとしては最も後発。
刊行ペースは1カ月に1〜2冊ペースで安定しています。
レーベル傾向としては、今のジュブナイルポルノレーベルの中で最もライトノベル寄りのストーリー性が強い作品が刊行されているレーベルですね。
数冊以上のシリーズ化されることも多い。
「ストーリー性のあるジュブナイルポルノが読みたい」「直接的なエロシーンが沢山あるライトノベルが読みたい」という人向けではあるが、作品の中で凌辱・輪姦シーンが出てくるような作品も結構あるので、そういうのが苦手な人は上手く作品を選んだほうがいい。
主人公やヒロインが本命以外にヤられてしまうの嫌、という人は要注意。
なお、最近では修羅場が展開される作品も見掛けるので、アクの強い作品は多い。
 
 
 
リアルドリーム文庫
KTC発行の「官能小説とジュブナイルポルノの中間」に位置してるようなレーベル。
正直、一概に「ジュブナイルポルノ」とは言い難いポジションにあるレーベルです。
イラストは付いているが、「濃い」絵柄のライトノベルジュブナイルポルノの主流から外れたようなイラストも多い。
設定もリアル寄りのものが多く、ライトノベルにありがちな「あざとい」「すっ飛んだ」設定のものは少な目。
作品傾向としては「人妻(若妻)」「(義)母」「痴漢」「熟女」「女子大生」などのような、ジュブナイルポルノでは主流じゃない、既存の官能小説寄りのものが主力で、凌辱のような「女性に取って不本意な肉体関係」の作品も多いです。
ただ近年は割と「女子高生」「学園のアイドル」みたいな美少女系の絵柄・設定の作品も見掛けるようになってきました。
まあとりあえず基本的には上記のような属性持ちの人向けですが、レーベル名のように「リアル寄りのエロス」が読みたいなら手に取ってみてもいいと思います。
 
 
 
ぷちぱら文庫Creative
エロゲノベライズ大手のパラダイムによるレーベル。
元々エロゲノベライズ専用文庫だった「ぷちぱら文庫」から、「ぷちぱら文庫Creative」という名前のレーベル内ブランドのような形でオリジナル作品の刊行が始まりました。
「Creative」の創刊は2011年2月ですからかなり新しいブランドです。
ただ、2011年2月〜2012年1月の1年間に刊行された作品数は4作品だけと、かなり寡作で刊行ペースも一定していません
無印の「ぷちぱら文庫」の方は毎月定期刊行してるだけにやる気があるのか分からないのが正直なところです。隔月なら隔月でいいので定期刊行しないと定着しないと思うんですけどね。
そんな訳でまだ4作品しか無いのでレーベルの特色も何もあったもんじゃないんですが、その4作品を読んだ感じでは「明るいH」「純愛」の業界主流に近い作品がほとんどで、凌辱系の作品は今のところ出ていません。
現状、作家陣はエロゲライターから引っ張ってきてる感じですね。
まあ、刊行数が少な過ぎて余り語ることもないんですが、今のところ作品の当たり外れに関しては結構打率がいいので、今後頑張って刊行数を増やして欲しいな、とは思っています。
 
 
 
ヴァージン☆文庫
「イーエルオーノベルズ」としてエロゲノベライズを出していたオークスが立ち上げたオリジナル作品のレーベル。
2011年6月創刊ですから、2012年1月現在では最も新しいオリジナルジュブナイルポルノレーベルですね。
9月・10月と出なかった月があるものの、6〜8月に2冊ずつ、11〜12月に1冊ずつ新刊が出ているので新規レーベルとしては割と悪くない刊行ペース。
まあそれでも2011年時点で8冊しか出ていないのでレーベルの特徴とか言い辛いんですが、一応その辺りの作品を読んでみた感じでは「明るい」「純愛」だけではなく、そこそこ黒い・淫靡な作品もある感じですね。
正義のヒロインが犯される、脅迫して肉体関係を迫る、などの二次元のドリーム文庫や美少女文庫の創刊初期を思い出すようなそれなりにダークな作品も見受けられました
まあそれでも完全バッドエンドみたいなのは少ないので、その辺は時流かなぁとは思います。
それでも変にレーベルカラーが固まってないおかげか、創刊初期らしい手探りでタブーが少ない感じは結構好き。
美少女文庫二次元ドリーム文庫のように、段々と業界主流の「明るい」「純愛」作品に偏向していく可能性はありますが、是非このままタブーの少ない感じで行って欲しい物です。
 
 
 
 
 

■で、ジュブナイルポルノって何が面白いの?

「面白さ」というかジュブナイルポルノの魅力ですが、私見で言わせて貰えばまあ「エロさ」ですよね。直接的な性行為のエロさ
エロは正義だと思いますし、エロに興味無いならあんまり読む必要無いジャンルだと思います。
類型的なキャラクターが多いとは言ってもラノベ的な可愛いキャラクターとエロイことをする」ラノベ的な可愛いキャラクターがエロイことされる」ことに魅力を感じれる人、ライトノベルのエロ要素では物足りないと言う人は手に取って見てもいいんじゃないですかね。
今の主流はイチャラブ・甘い作品なため「(誰とも別れない)ハーレムエンド」「3P・4Pエンド」もザラなので、ハーレム願望と独占欲求ある人の需要も満たしてくれるジャンルだと思います。
たまにセックスシーンの出てくるライトノベルもありますけど、長々と描写されることは少ないですし、アブノーマルな行為になることは少ないですし、そこら辺のフェティシズムや特殊嗜好も満たしてくれるのはジュブナイルポルノなんじゃないですかね。
 
まあ、ライトノベルでも「かのこん」みたいな作品は例外としてね!
 
まあ、そんなこんなで過剰に「ストーリー性」を求める人には向かないジャンルだと思いますが、そこら辺は自分の好みとの兼ね合い一度手に取ってみてはいかがでしょうか?